数年前、人からいただいたタイ土産。

高さ3cmほどの小さい小瓶に入った、抹茶色をした何か。
匂いは軟膏のようだが、食べるものである可能性も否定できない。
製造年月日らしいものとともに、消費期限らしい記載があるからだ。

瓶の蓋には、竹の絵が描いてある。
タイ語は一切わからないので、商品名は不明だが、「玉竹牌」という
会社名とも漢字版商品名ともつかない表記がある。

これをくれた本人も、正直何かはよくわかっていないと言っていた。
ネットで検索してみたが、結局何であるかはわからなかった、とまで言っていた。
わからぬものを、わからぬと言いつつお土産にする潔さはむしろ好感すら覚える。

しかしさすがに、正体がわからないだけに、引き出しに入れて放置していた。
そうしたら、引き出しの中が一種独特の軟膏臭を放つようになってしまった。
おばあちゃんの家の匂いとでも言おうか。

引き出しを整理するついでに、もう一度調べてみようとネットで検索したら
今度は同じ商品の画像がひっかかった。
やはり軟膏であるらしい。

が、何の効能があるかは結局わからなかった。
さすがに今後も使えそうにない。

とはいえ、気楽にタイに旅行に行けた証左であるのだと思うと捨てるに忍びない。
引き出しにそっと戻した。
タイのおばあちゃんの家も、こんな匂いがするのだろうか。

自分の家が、少しずつおばあちゃんの家になっていく理由がわかった。