配線が嫌いだ。
接続が面倒なのもあるが、それ以上に、配線のごちゃつきが目障りで仕方ない。

テレビ、パソコン、モニター、電話、ルーター、モデム、掃除機の充電器の配線。
この配線がなければ、どれだけすっきりするだろう、といつも思う。

ケーブルが必要な機器類はひとつの棚にまとめ、配線も棚の中に収納しているが
しかし、この手の収納棚は背板に大きな隙間がある。
ケーブルを通さなければならないし、熱を発するものもあるからだ。

けれども、隙間というのは、ホコリの入り口でもある。
一見すっきりしているようで、棚の中ではケーブルがホコリにまみれている。
束ねたケーブルの隙間に積もったホコリは、掃除がしづらいことこの上ない。

日進月歩で技術が革新を続けているのに、人類はいつまでケーブルと戦うのか。

最近は、アンテナ線が不要なテレビがあると聞いた。
アンテナ線をなくせる技術があるなら、それ以外のケーブルもなんとかならんのか。
ケーブルだけはなくせないというならせめて、ケーブルが己の長さを自由自在に
伸縮できるようにはならんか。
これからの電子機器は、新機能の搭載よりも、削除できるものをそぎ落とすことに
力を入れるべきではなかろうか。

テレビ台の裏のケーブルに積もりに積もったホコリを掃除しながら、
誰にともつかないつぶやきが止まらなかった。

ついでに、引っ越してきたときの近隣へのあいさつ品に、考えぬいた挙句
訳がわからなくなって、コードリールを持って行ったことを思い出した。
いつ思い出しても、我ながら、そのセンスのなさに悶えてしまう。
グッドデザイン賞だか知らないが、急にそんなものもらっても
お隣さんは困惑したに違いない。あの時の自分を全力で止めたい。

そんなわけで、配線は嫌いだ。